エスミンの鑑定辞典

半人前鑑定士の勉強メモ

ダイヤモンド 鑑定書・鑑定機関について

ダイヤモンドには鑑定書がついているものがあります。

この鑑定書の有無で査定額が変わってしまうこともありますので

鑑定書が大事なのはなんとなくわかるけど、

何が書いてあるのかイマイチわからない!

 

そんな風に思っている方は多いのではないでしょうか?

 

今日はダイヤモンドの鑑定書の見方について説明します。

 

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中央宝石研究所の鑑定書

①~⑪まで順番に説明していきます。

 

①.SHAPE & CUT(形およびカット)
研磨されたダイヤモンドの外形とファセット配列を記載します。


② MEASUREMENT(寸法)
ガードル直径の最小と最大寸法、テーブルからキューレットまでの深さの寸法をダイアメンション装置で測定し、100分の1ミリ単位で表示します。

③CARAT WEIGHT(重量)
常に正確なデジタル電子重量計で、1カラットの1000分の1まで測定し、表示します。

※0.2g(200mg)=1カラット


④COLOR GRADE(カラーグレード)
GIAマスターストーン(JJA/AGL認定)を使用し、検査するダイヤモンドの色の濃さを判断し、カラーグレードとして表示します。

色の起源が天然(NATURAL)である旨の表記がされます。

ダイヤモンド カラーについて

⑤CLARITY GRADE(クラリティグレード)
内部/表面の特徴の大きさ、性質、数、位置、反射、色などを考慮し、10倍の拡大により、クラリティグレードは決定されます。

 

⑥CUT GRADE(カットグレード)
プロポーション要素(プロポーションの各寸法については自動測定機ダイアメンションを使用)をGIA Facetware Cut Estimatorデータベース(3850万通り以上)で照合し、目視評価要素を経てExcellent、VeryGood、Good、Fair、Poorの各グレードに決定されます。


⑦FLUORESCENCE(蛍光性)
ダイヤモンドは長波紫外線下で発光することがあります。

この発光時の色及び強さを蛍光マスターストーンと比較して決定し記載します。

⑧レポート番号

⑨ PROPORTION(プロポーション)
ダイヤモンドに施された面(ファセット)の角度や比率をGIA基準により記載します。

⑩ COMMENTS/REMARKS(その他/備考欄)
レポート内の記載以外のダイヤモンドの特徴やその他の情報をコメントします。

⑪ PLOT(プロット)
同じものが2つと無いダイヤモンドのインクルージョン(内包物)の特徴を図示したもので

石の表面に限られた特徴は緑インクで、石の内部又は表面から内部に入っている特徴は赤インクで、カッター(ダイヤをカットする人)により必要外につけられたファセット(面)は黒インクで、それぞれをレポート上に図示します。

CGL鑑定書はプロットが記載されているものと、「図示省略」として記載されてないものがあります。

す。

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プロット

 

この中で大事なのは③.④.⑤.⑥です。

鑑定士は鑑定書に全てを目を通しますが、大事なのは③④⑤⑥の「4C」と言われる

項目です。この4Cがダイヤの値段を決める重要な基準になるからです。

 

③CARAT WEIGHT(重量):カラット

0.2カラット以上から評価の対象になる

大きければ大きいほど基本価値は高い

(カラットについて)

https://esumin.hatenablog.com/entry/2019/12/25/213037


④COLOR GRADE(カラーグレード)
ダイヤモンドの色の濃さを判断し、カラーグレードとして表示します。

色の起源が天然(NATURAL)である旨の表記がされます。

Dカラーを最高ランクとして、Zまである。

Jカラーくらいまでを透明の範疇とし、K~Zは黄色判定と見ます。

(カラーについて)

https://esumin.hatenablog.com/entry/2019/12/22/142625

⑤CLARITY GRADE(クラリティグレード)
内部/表面の特徴の大きさ、性質、数、位置、反射、色などを考慮し、10倍の拡大により、クラリティグレードは決定されます。

内包物の有無、大、小は大きく値段にかかわってきます。

(クラリティについて)

https://esumin.hatenablog.com/entry/2019/12/23/204128

 

⑥CUT GRADE(カットグレード)
プロポーション要素(プロポーションの各寸法については自動測定機ダイアメンションを使用)をGIA Facetware Cut Estimatorデータベース(3850万通り以上)で照合し、目視評価要素を経てExcellent、VeryGood、Good、Fair、Poorの各グレードに決定されます。

カットの良しあしでダイヤの輝きは大きく変わる。

有名ブランドのダイヤ製品、婚約指輪はグレードを高いものを使用することが多い。

(カットグレードについて)

https://esumin.hatenablog.com/entry/2019/12/25/221748

 

全部を見るのではなく、4Cの評価である

③④⑤⑥をしっかり見れれば、どういうダイヤか把握できるかと思います。

 

また、鑑定書は様々な機関が発行してますが、記載内容に大きな違いはありません。

ダイヤモンドは「鑑定書」(4Cについて記載)

ダイヤ以外の他の宝石は「鑑別書」で4Cの記載はなく、石の種類やカラット数が記載

「保証書」購入店舗が独自に発行したもので評価の対象にはなりませんのでご注意ください。

 

また、鑑定書を発行する鑑定機関のランクがあります。

これは記載内容が信頼できるかどうかの基準になります。

A鑑、B鑑、C鑑と大きく三つに分けて考えます。

 

A鑑:GIA・CGL・AG

【GIA】

ダイヤモンドの国際的な品質評価基準「4C」を定めたのが、アメリカにあるGIAです。
GIAの鑑定書は世界中で認められており、最も権威ある鑑定機関と言えます。

GIAで鑑定されたダイヤモンドはレポート番号で管理され、オンラインでチェックすることができます。

【CGL】

日本のダイヤモンドの多くを鑑定しているのが、CGL(中央宝石研究所)です。
日本人の鑑定書好きもあり、発行部数で見れば世界最大級の鑑定機関と言えます。

H&C(ハートアンドキューピッド)のサブレポート(プロポーションレポート)を採用しています。
対称性に優れたカットのダイヤには8個のハートと矢が見えるというもので、必ずしもダイヤの優劣を示すものではありませんが、日本での人気が高いです。

鑑定書の番号とカラットを入力することでダイヤの情報を確認できる「CGLダイヤモンドグレーディングレポート照会サービス」があります。

【AGT】(AGTジェムラボラトリー)

GIAの日本における代行機関として作られた「日本宝石鑑別協会」の子会社でした。

特にカラーダイヤモンドの判定に定評があり、微妙な色合いのダイヤはAGTの鑑定結果が重視されるほどです。

B鑑:AGL加盟鑑定機関

日本国内の鑑定機関は、宝石鑑別団体協議会(AGL)によって統括されています。AGLは国内の鑑定基準を統一させるために、昭和56年に設立した一般社団法人で、加盟する鑑定機関では、カラーグレードの判断に共通のマスターストーンを使用したり、カットの評価に自動計測器を使用したりと、正確な鑑定をするための取り組みを行っています。

また日本にはかつて、GAAJ(全国宝石学協会)という鑑定機関がありました。
最も権威のある鑑定機関とも言われ、AGLの正会員でもあったのですが、2010年に倒産してしまいました。

組織的にダイヤの鑑定を甘くしていたという「かさ上げ鑑定疑惑」が出て、AGLを除名されるなどして信頼を失い、百貨店などからの鑑定依頼も無くなったためです。

C鑑定:それ以外(他カンとも呼ぶ)

日本国内の鑑定機関を統括するAGLですが、公的な団体ではなくあくまで業界内の自主管理団体なので、AGLに加盟していない鑑定機関もあります。また、鑑定士自体も国家資格ではないので、知識や公平性を持たない自称鑑定士も大勢います。

つまり、ダイヤモンドの鑑定書は誰でも作成することができ、買い取る店側の言いなりに値段を付ける、悪質な鑑定機関・鑑定士も存在するのです。

鑑定機関の信頼度を見極めるには、やはりAGLに加盟しているかどうかがポイントになります。

 

 

改めてお持ちの鑑定書をみて、自分がどんなダイヤを持っているの価値を把握しなしてみるのもいいのではないかと思います。