ティファニーについて①
ティファニーは中古業界でも非常にメジャーなブランドです。
完成された世界観、美学に多くの方のファンがいらっしゃいます。
ティファニーといえば世界でも屈指の知名度を誇るジュエリーショップで、今やジュエリーだけに留まらず、バッグなどのレザーアイテムや食器なども数多く展開し大成功を収めているブランドです。
プレゼントや記念日の贈り物としても人気があり、結婚指輪や婚約指輪のブランドとしても非常に有名です。
ティファニーの歴史
ティファニーの創業は1837年9月に遡ります。なんと、180年を超える老舗なのです。
ちなみに同年にはエルメスが誕生しました。
当初は「ティファニー・アンド・ヤング」という文房具やファンシーグッズなどを扱っているお店でしたが、商品に定額値札を付け値引きに応じない、アメリカ初となるハイジュエリーカタログ「ブルーブック」を発行するなど、非常に先進的なビジネス形態が話題となりました。
その後、宝石業に本格的に進出を果たします。きっかけはフランス二月革命に伴い亡命中のフランス王室からダイヤモンド入りの王冠を買い付けたことでした。
1853年には現在の社名になり、「ティファニーブルー」として有名なカンパニーカラーも採用されるようになります。
宝石への確かな審美眼と、もともとの高いデザイン性を武器にアメリカ国内で広く知れ渡るようになり、「キングオブダイヤモンド」の賛辞をほしいままにしてきました。
1867年にはパリ万博で自社の銀器が優秀賞を、1878年の同万博で銀器やジュエリーで受賞するなど欧州にも名を広めることとなります。
当時のアメリカ国内のジュエリー界はまだまだ黎明期であることを考えると、創業からわずか30年余でヨーロッパでの認知度をも獲得したティファニーの凄まじさがおわかりいただけるのではないでしょうか。
1940年に本店を現在のニューヨーク五番街に移します。
五番街と言えばアメリカ屈指の高級ブティック街。ティファニーだけでなく、カルティエやブルガリ、ハリーウィンストンなどジュエリー界の大御所が軒を連ねます。
映画『ティファニーで朝食を』により、本店が観光名所の一つとなっていることでも有名ですね。
現在はジュエリーだけでなく、腕時計にフレグランス、レザーグッズや食器など多角的に事業展開を行っています。
ティファニーブルーの意味
鮮やかなスカイブルーに白いリボンで有名なティファニーのカンパニーカラーがティファニーブルーです。
この色は、コマドリの卵の色からインスピレーションを得たとのこと。
コマドリは「幸せを運ぶ鳥」と言われ、多くの民謡や伝承に登場してきた人間と関わり深い野鳥です。
創業者のチャールズ・ルイス・ティファニーは「ティファニー製品を購入した人だけが手にできる特別な包装箱」の作成を決意し、このティファニーブルーボックスを考案したと言います。
現在「ティファニーブルー」は商標登録されており、同社が「スタイルと品格の世界的なシンボル」と自負しています。
ティファニーは今をときめく人気ブランドですが、実はアメリカジュエリー産業に大きな功績を残した歴史的に意義深いブランドでもあります。
ティファニーの功績
スターリングシルバー(SV925)をシルバージュエリーの基準に
ティファニー製のリングやネックレスチェーンなどで使用される「スターリングシルバー」。
オープンハートやティファニーTなど、良質なシルバージュエリーを比較的リーズナブルに手に入れられるとあって、大変有名です。
スターリングシルバーとは、ティファニーの商標登録や製品名ではなく、
「SV925」と称される銀の純度(92.5%)を指したものです。
銀は純銀だと柔らかすぎて装飾品に向かないため、銅などを混ぜ合金にして硬度を調節します。
ティファニーは「シルバージュエリーにふさわしい硬度」と、「銀の魅力や価値を落とさない」とを両立する純度が92.5%であると見極め、
アメリカで初めて自社製品の基準を「スターリングシルバー」に定めたのです。
この純度はのちにアメリカ公式基準となり、現在も広く用いられているものとなりました。
ティファニーセッティングの発明
よくエンゲージリングにみられる、
六つの爪で一粒のブリリアントカットダイヤモンドを固定するセッディング手法があります。
これもまた創業者であるチャールズ・ルイス・ティファニーによって編み出されました。
ダイヤモンドの輝きやプロポーションを土台が邪魔せず、オーナーに最も美しく見やすい位置を計算して設計されました。
さらに、この土台の素材にプラチナを使ったことも肝です。
今でこそプラチナ素材は一般的ですが、この当時はシルバーやゴールドを使うのが一般的でしたが、さらにダイヤモンドジュエリーの輝きを映えさせるプラチナの利用はとても画期的なものでした。
ティファニーがプラチナを採用したことをきっかけに、ジュエリー界ではこの素材が広く用いられるようになったのです。
ちなみにのちにアメリカはティファニーが用いたプラチナ純度を公式基準として採用しています。
イエローダイヤモンドの採用
ダイヤモンドは無色透明に近いほど価値が上がります。
また、色味がついているものだと、ピンクやブルーが重宝され、
黄色味の強いものは敬遠されていました。
そんなイエローダイヤモンドをハイジュエリーとして昇華させたのはティファニーです。
1877年、アフリカのキンバリー鉱山で発見されたイエローダイヤモンドをチャールズ・ルイス・ティファニーが買い付け、クッションシェイプにカットしたことが始まりです。
公表されたそのイエローダイヤモンドの、これまでになかった華やかな色合いは世界中で話題となり、低品質評価されていたイエローダイヤモンドが改めて見直されることになりました。
もちろん他のファンシーカラーダイヤモンドを凌ぐ価値、というわけにはいきませんが、一つのファッションの選択肢として多くのブランドがイエローダイヤモンドジュエリーを採用しています。
新素材「ルべドメタル」の開発
ティファニーは由緒正しい老舗ですが、同時にジュエリー界の開拓者でもあり続けています。
それを象徴するエピソードの一つが、新素材「ルべドメタル」の開発です。
ルべドメタルとは、2012年、創業175周年を祝してティファニーが開発した素材で、柔和なバラ色が特徴的。それでいてゴールドともシルバーとも違った輝きを放ちます。
素材の詳細は公開されていませんが、ピンクゴールドのような色合いをより安価で楽しめるとあって、早速人気ティファニーの定番入りを果たしました。
ティファニー創業のオマージュシリーズとして、ナローリングやハートキーペンダント、ハートタグブレスレットなどで採用されています。
アメリカへの多大なる影響
アメリカジュエリー産業だけでなく、ティファニーがアメリカという国家に与えた影響も計り知れません。
19世紀に生まれたティファニーは、歴代大統領や要人、セレブリティから愛されてきたのみならず、発展途上にあったアメリカ近代産業の牽引役をも担いました。
先ほどご紹介したスターリングシルバー基準はもちろんのこと、画期的なデザイン力や開発力で工芸分野にも影響を与えたり、数々のアメリカ史に残るシーンに関わります。
議会勲章やドル紙幣の印章デザイン、自由の女神完成式典の招待状作成、ホワイトハウスのレセプションルームの内装や大統領夫人の使用する食器など、ティファニーとアメリカの蜜月を語るエピソードはたくさんあります。
ティファニーは歴史あるブランドなだけでなく、
常にジュエリーの新しい道を切り開いてきた開拓者精神溢れるブランドと思います。
次回は、ティファニーがなぜ支持されたのか?その立役者は誰なのか?について
書きたいと思います。