ルイ・ヴィトン 素材について
ルイ・ヴィトンはラインによって、様々な素材を使っています。
素材によっては、取り扱いに注意が必要なものがあります。
素材ごとの特長と、長く使うためのポイントをお伝えします。
モノグラム・ダミエ:トアル地
モノグラムやダミエは、キャンバス素材を特殊加工した「トアル地」を使用しています。
【トアル地とは】
エジプト綿に塩化ビニール(PVC)コーティング加工した
「トアル地」と呼ばれる高級素材を使用しています。
ビニールなので当然弾力があり、水に濡れても全く問題無し。薬品にも強いのが特徴です。
【取り扱い方法】
トアル地は耐久性や防水性に優れ、傷が付きにくい素材ですから、購入後に防水スプレーをかけておけば、汚してしまった場合でも柔らかい布で拭き取るだけでOKです。
使用後は、付属の保存袋に入れて、直射日光が当たらない風通しの良い場所に保管しましょう。
耐久性や防水性があるから、丸洗いもできるのでは?
と思う方もいるかもしれませんが、それはやめてください!
モノグラムラインは、一部にヌメ革を使用したアイテムが多いです。
この部分が水に濡れるとシミの原因になってしまいます。
ダミエも、ヌメ革やエボニー・レザーという染色された革が使われていますので、水洗いなどのお手入れはやめましょう。
お手入れのことも考えると雨の日には使用しないことが一番ですが、出先で突然雨に降られることもあると思います。
もし雨に当たってしまったら、なるべく早く乾拭きして陰干しするようにしましょう。
また、ベタ(加水分解)には要注意です!
プールが終わって浮き輪を湿ったまま、たたんで放置すると次開くときにベタベタと引っ付きます。
これは塩化ビニル樹脂が水と反応して加水分解を起こしたためです。
塩化ビニル樹脂は空気中の水分と反応して加水分解を起こします。
中古のヴィトンがべたついているのは、加水分解が主な原因です。
ヴィトンの本国『フランス』は日本より湿度が低く、加水分解も起こりにくい環境で、塩化ビニル樹脂を素材とするのに適している環境だといえます。
一方日本は、比較的高温多湿で塩化ビニル樹脂を長期保存することは難しいのが現実です。
カバンや財布の保管は押し入れに入れがちですが、押し入れ内はかなり湿度の高い環境です。ひと月に一度は風通しが良く、日光に当たらない場所に出す必要があります。
当然、ベタは製品査定において痛手ですので、将来売却を考えているのでしたら、
保管の際は、入れっぱなしにはご注意ください。
ですが、
ヴェルニ:カーフスキン+エナメル加工
1998年にデザイナー、マーク・ジェイコブスが自身のデビュー・コレクションのショーのためにデザインして誕生したモノグラム・ヴェルニ。
ヴェルニという名前はフランス語で「エナメル」を意味し、
個性的なカラーで彩られたエナメル加工が施されたカーフスキンに、モノグラムを型押した素材は、独特の光沢感でゴージャスな印象です。
【カーフスキンとは】
「カーフ」は仔牛のことで、生まれてから6カ月以内の仔牛のなめし皮を「カーフスキン」と言います。
傷などが少なく、柔らかくて薄いという特徴があります。
牛革の中で最も高い価値があるのがカーフスキンです。
【取り扱い方法】
ヴェルニには、エナメル加工された牛革が使われています。
爪やアクセサリーを引っかけると、光沢が損なわれたり、傷ついたりしますので、ざらざらとしたものに触れないように気をつけましょう。
また摩擦や水濡れ、汗などによって色落ちの可能性がありますので注意が必要です。
基本的にはクリームや防水スプレーは使用しない方がベター。
また、雨の日は持って出かけないことをおすすめします。
エピ:エピレザー
フランス語で「麦の穂」を意味するエピ。1920年代にルイ・ヴィトンで使われていたグレイン(型押し)のパターンをヒントに1985年に新たに開発されたパターンで、風にたなびく麦の穂をイメージして作られました。
エピに使用されているのはエピ・レザーと名付けられた素材で、比較的厚手の牛皮をクロム塩と植物タンニンでなめし、染色してから独特の型押しをしています。
エピ・レザーの特徴は、光の当たり方によって光沢や色彩が変化することで、無地でありながら、ほどよい華やかさのある風合いがあります。
また衝撃に強く、シワができても目立ちにくいというのも特徴です。
タイガ:カーフスキン
ロシア語で、「針葉樹の森林地帯」を意味する”タイガ”は、シャープかつシックでスタイリッシュな表情が目を引きます。1993年、ルイ・ヴィトン初の本格的なメンズラインとして登場し、ビジネスユースを意識してデザインされたアイテムが多いです。
精巧な型押し(グレイン)が施された洗練された上質な牛革(カーフスキン)を使用しています。
【エピ・タイガの取り扱い方法】
染色して型押しをした牛革のエピ、やわらかく上質な牛革を型押ししたタイガ。
この2つのラインの素材はそれぞれ違いますが、いずれも摩擦や水濡れ、汗などにより色落ちやシミになる可能性があります。
洋服に色が移ることもあるので、雨の日などは特に注意してください。
水に濡れた場合のお手入れは、やわらかい布で水分を十分に取ってから陰干し。
また、ほかの皮革製品と密着させて保管すると、色移りすることがありますので、保管方法にも注意しましょう。
エピやタイガの表面の光沢が無くなった場合は、専用のクリームをやわらかい布に付けてムラなく薄く塗ってお手入れをしてください。
番外編
ルイ・ヴィトンをはじめとしたハイブランドに使われる牛革についても簡単に説明します。
牛革の種類
カーフ
生後6か月までの仔牛の皮。銀面のキメが細かく、皮が柔らかい。若い牛の皮なのでキズが少なく、部位による皮質の差が少ないのが特徴。体が小さい分、面積が少ないので、流通量も少ない高級素材。
キップ
内装キップ生後6か月から2年くらいまでの牛の皮。
キップもカーフスキンに含まれてしまうことがあるが、キップはカーフに比べて皮が厚く、耐久性に優れている分、銀面のキメの細かさではやや劣る。
耐久性を生かして、財布の内装に使われることも。
カウ
カウ革ジャン生後2年までの雌成牛の皮。雄牛であるステアやブルに比べると皮自体が薄く、銀面のキメは細かいがお腹の部分の皮の繊維がややルーズという欠点も。
皮ジャンなどにもよく使用される。
ステア
生後数か月で去勢された雄牛の皮。皮質はカウとブルの間といったところで、成牛の中でもキメが細かい。
牛皮の中で最も流通量が多いため、ステアを使った革財布は手頃な価格のものが多い。
ブル
生後3年以上の雄成牛の皮。皮自体が厚く、丈夫だが、繊維が荒く、去勢されていないため、気性が荒い牛同士のケンカ(?)による傷が多いのが欠点。靴や靴底などに使用されることが多い。
ハイドとスキンとは?
皮革素材の名前には『カウハイド』や『ブルハイド』と呼ばれるものや『カーフスキン』『キップスキン』と呼ばれるものがあります。
皮のタイプと組み合わせて使われている、この二つの言葉は動物の生育状態を示したものです。
ハイドとは
厚くて重い、大きい皮のこと。牛革の場合、体重が13.6キロ以上のものがハイドになる。
スキンとは
薄くて、軽い、小さい皮のこと。牛革の場合、体重が13.6キロ以下のものがスキンになる。牛革の他にはシープスキンなどがある。その他、小動物の皮を○○スキンと呼ぶことも。